恋人ごっこ幸福論
「にしても転校早々散々な目にあったぜ。センコー共中々解放してくんねえからさ」
「…正直、あれは怖かったから仕方ないと思うよ」
あの後、先生に連れて行かれた玲央ちゃんの様子を見に行くと、玲央ちゃんが"2学期から転校してくる予定のうちの生徒"だったということが判明した。
玲央ちゃんはここ10年くらいずっと海外で暮らしていたらしく、一週間前からまた日本で暮らすことになったらしい。
久々の日本の学校ということで、少しでも早く授業についていけるよう夏休みの補講から参加することになっていたらしく。私が同じ高校に通っていることを知って、偶然会った花火大会の日のリベンジをしようと朝から校門の前で待っていたらしい。
「本当は今日緋那のクラスに会いに来てびっくりさせるつもりだったんだがな。俺が待ちきれなくなっちまって、待ち伏せしてたんだ。怖がらせちまって悪かったな」
「う、ううん…大丈夫だよ…」
それで今はなんとか解放され、休憩時間に私達のクラスに来て事情を説明してくれている、という訳だった。
朝校門の前に居た玲央ちゃんは、学校中で何者なのかと噂になってしまったらしく。
クラスメートは元より他のクラスの人も廊下から遠巻きに玲央ちゃんのことを見に来ていた。