ファイヤークイズ午後の部
《では、今回も左回りで回答していただきましょうか》


その声にビクリと体を撥ねさせたのは一真だった。


浩二から見れば左手に立たされている。


一真ののどぼとけが上下に動き、ゴクリと唾を飲んだのがわかった。


《次の回答者は金石一真さんです! まず、大切な物はこちら!》


一真がステージを睨み付けるように見つめている。


あたしも、視線をステージへ向けた。


出て来たテーブルに置かれていたものは、一枚の写真だった。


普通の写真を拡大して、大きな額縁に入れられている。


写真に写っているのは黒髪の清楚な女性だった。


年はあたしたちと変わらないくらいで、カメラマンへ向けて柔らかくほほ笑んでいる。


その写真を見ているだけで、ここが草原のように感じられれるくらい、写真の彼女には透明感があった。


同性のあたしでも、思わずため息が出てしまう。
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