【コミカライズ】黒騎士様から全力で溺愛されていますが、すごもり聖女は今日も引きこもりたい!
 ジュリオは、ガレアクトラ帝国の第四王子。聖教国フィロソフィーにとっては賓客であり、王女であるルルがないがしろにすると問題になる相手だ。

 ルルは、仕方なくジュリオの手をとり、テーブルに囲まれたホールの中央に進み出た。向き合うと、ジュリオの片手がルルの腰に回される。
 ゾワゾワと不快感を覚えながらも、ルルは曲に合わせて一歩を踏み出す。

「……なんだ、意外と踊れるじゃないか」

 ステップを踏むルルを、ジュリオはつまらなさそうに評価した。
 参加者たちも、ドレスをひらめかせる美しい『ルルーティカ王女』に目が釘付けだ。当の本人はポーカーフェイスを作るのに必死なのだが。

「踊れているのは、ジュリオ王子殿下のエスコートが上手いおかげですわ」
「そういうお世辞も言える子なんだね、君。マキャベルは、幼稚で我がままなダメダメ王女だって言っていたのに、ぜんぜん違うじゃないか」

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