禁忌は解禁される
「これ、紫のチューリップ?」
颯天の肩から胸にかけて彫ってある刺青に触れながら言った一颯。

「そう」
「なんで、チューリップ?」
「花言葉…知ってる?」
「えーと、確か……」
「不滅の愛。
俺の一颯に対する愛の証」

「━━━━━━━━どうして、そんなこと……」

「好きだから━━━━━
それしかない………!」

「颯天…」

「高校の時になんとなく一颯の気持ちわかったから、だったら俺も自分に正直になろうと思って………
………………これでも、スゲー悩んだんだよ?
普通、あり得ないだろ?姉貴に特別な感情。
でも、高校の時に付き合った女紹介した時、一颯…どんな顔してたかわかる?」

「え…?」
「あの時の表情、今でも忘れない。
スゲー傷ついてた………
だから、思ったんだ。そんな顔させる位なら、俺が一生傍にいて守りたいって!
その為には、まっとうに生きられないと思ったから、裏で生きていくって決めたんだ」

一颯は、颯天の覚悟を甘くみていた。

でも颯天はきっと色んな葛藤の中で、今回の覚悟をしたのだ。

「もしも……もしもね。私達が血が繋がっていないとしたらどうする?」

「え?
それなら、簡単だよ。俺が籍を抜いてすぐにでも一颯と結婚する。
なんで?そんな夢みたいな話、あるの?」

「表の世界行ける?」

「それは、今更…無理だよ!その為に二年もかけて、色々準備してきたし。
それに、一颯は母さんを殺した世界が嫌いなんだろうけど、俺は母さんを殺した世界に復讐したいと思ってる」
「颯天……」

やっぱり無理なのだ。
颯天に表が無理なように、一颯には裏は無理なのだ。


母親を殺した世界にいるのは━━━━━━


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