禁忌は解禁される
「どうしたの?急に……
姉ちゃんらしくない」
そう言いながら、膝の上のプリンを拭こうとする颯天。

「大丈夫だから!自分で拭くから!」
颯天が持っていたティッシュを取りあげる。
「は?変なの……?」

顔が熱い……
気持ちを抑えなければ……。
そんな気持ちでプリンを拭き取り、違う話題を振る。
「颯天は、どうするつもりなの?
銀くん達にいつもくっついてるってことは、お父さんの跡を継ぐの?」

「そうだよ。もう高校卒業した時には、決めてたから」
「どうして?きっと颯天が思ってるより、酷い世界だよ?」
「わかってるよ」
「私は颯天には、幸せになってもらいたかった!
普通に仕事して、恋人とか作って、結婚して、子どもが出来てって………普通の幸せ」
「俺は、幸せになるよ。その為にこの二年頑張ってきたから。
たとえ裏でも、ある人と幸せになってみせるよ」


「………ある人って、颯天…好きな人いるの?」


「うん…いるよ…」

「そ、そう…。
今、お付き合いしてるの?」

「ううん、まだ気持ち伝えてないから」

(もしかしたら、ホステスさんとかかな?
それとも高校の時の彼女さん?それとも、別の好きな人がいたとか?)
悶々と考えをめぐらせる、一颯。

「姉ちゃん?」
(他にいたかな?
あんまり女の子といるとこ、見たことないしな)

「姉ちゃん!?」
(どっちにしても、私は論外だろうし……)

「一颯!」
「━━━━え?」

(今……なん…て……?)
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