禁忌は解禁される
颯太も、銀二の律子への想いは感づいていて、だからこそ一颯の護衛をずっと銀二に任せていた。
銀二なら、一颯を安心して任せられるから。

今回のパーティーも、井田ではなく銀二にお願いしたのもそれがあるからだ。

そして、銀二もその颯太の思いをきちんと受け止めている。
そして、今日も。
「申し訳ありません。どうしても若についていかないといけなくて……」
「そっか。じゃあ…しょうがないね。
井田くんが行けないなら、諦めるしかないね……
だって、一人はダメなんでしょ?」
「そんなことしたら、組長だけでなく、若や銀二さんにまで殺されます!」
「当たり前だ!絶対、一人で行くなよ!姉ちゃん!
ほら、井田!行くぞ!
姉ちゃん、行ってくるね!」
「うん、行ってらっしゃい!」
玄関先で一颯と井田、颯天が話をしていた。
そして、一颯の頭をポンポンを撫で、出ていく颯天と一颯に礼をして出ていく井田。

「どうかされました?姫」

「え?銀くん!
イベント行きたいなって思ったんだけど、誰もついてこれないみたいで、諦めてたとこ」
「ハーブティですか?」
「うん、ママがハーブティ好きだったでしょ?
ママの真似してたら、私もはまっちゃって!」
嬉しそうにチラシを見る、一颯。
つい、銀二も顔が緩む。

「では、私がご一緒しましょうか?」
「え?いいの!?
行く!!行きたい!」
「じゃあ…準備をしてここで待っていて下さい!
組長に報告して、車を回します」
「わかった!ありがとう!」

スキップする勢いの一颯を、柔らかな表情で見る銀二だった。
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