オフィスの華(令和版)~若社長と秘書のHONEYなヒミツの関係~
「華は我が社の社員なのか?栗原」

「そうです…華さんは『ソーマ』の社員です…社長」

栗原は俺のデスクに両手を付き、カラダを乗り出して、俺の顔を近づけた。

「会長も貴方もそれぞれ、知可子ママ、華さんに夢中ですが…二人に手を出すのは非常に危険ですよ」

「危険?それはどうしてだ?栗原」

「華さんの父親は今の外務省の事務次官・樋口真一(ヒグチシンイチ)官僚族の中でも何度も官僚を輩出した名家です。知可子ママは別名「霞が関の華」とも呼ばれています。何れ、樋口外務事務次官は知可子ママの後釜に華さんを据えるおつもりです」

「・・・」

「・・・『泡沫』は官僚と政治家の間では取引場所として有名な場所。
我が国の政治があそこで行われていると言っても過言ではない。知可子ママは政界や官界の裏側を非常に知り過ぎている…あの店に軟禁されてるんですよ…」

「華もその裏側を知ってるから…危険だと言いたいのか?栗原」

「・・・華さん自身はまだ何も知りません。母親である知可子ママが…全てを胸の中に秘めていますから…華さんは父親の名前も兄の存在も…『泡沫』がどんな場所なのかも知りません…」


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