オフィスの華(令和版)~若社長と秘書のHONEYなヒミツの関係~
獲物の証
「実は俺のモロタイプだ。華」

「えっ?あ…」

車は信号待ちで停止した。
運転に集中していた栗原さんがバックミラー越しに私達を一瞥する。

「だから…今夜は帰さない…」

「え、あ…」

言葉の意味は分かっているけど。
祐早斗様は栗原さんの存在を完全に透明人間にしていた。

「俺…タイプの女には容赦ないんだ…」

彼はぽつりぽつりと私を口説こうと言葉を紡ぐ。

栗原さんは何も言わない。淡々と運転していた。

そう言われても…

彼がこんなにも強引なタイプとは予想外で、恋に臆病になった私には何かと刺激の強い相手。
その甘いマスクで何人の女性を口説いたんだろう。

でも、他の男性には感じない何かがあるのは確かで。

「んっ?」

祐早斗様は車窓を見つめた。

「おいっ、栗原…此処で停めてくれ」

栗原さんは祐早斗様に言われ、車列から滑らかに出て、舗道の脇に車を停止させた。

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