オフィスの華(令和版)~若社長と秘書のHONEYなヒミツの関係~
「サンキュー」

「いえ」

私達が車の外へと出ると、パワーウィンドを開けて、栗原さんが顔を出す。

「祐早斗様…明日七時にお迎えに上がりますので…よろしくお願いします」

「あぁ、わかった…今日はお疲れ」

「お疲れ様でした」

栗原さんは恭しく頭を下げて、ウィンド閉めて、元の車の波に戻って行った。

「何処に行くんですか?」

「俺に付いてくれば…分かる」

私は祐早斗様と路地へと入って行く。彼が案内した店は行きつけのバーだった。
メインの道から外れた奥まった場所にあった。

知る人ぞ知る、隠れ家的な店。

「久しぶり、祐早ちゃん」

「久しぶり。マスター」

ロン毛を後ろに束ねた気さくな雰囲気の男性がバーテンを務めていた。
祐早斗様とはお知り合いらしい。
「シンガポールからいつ帰ったんだ?」

「今朝だ…身内に不幸があって…」
私達はマスターの目の前のカウンターのスツールに腰を下ろした。



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