オフィスの華(令和版)~若社長と秘書のHONEYなヒミツの関係~
横暴なデートの誘い
週明け。
月の中盤に差し掛かった。

祐早斗様が今日の役員会で正式に社長就任する。
九月の中間決算を終えたかと思えば、月次決算へと追われる経理課。

四半期決算の基礎となる決算プロセスの一部としては重要。

新社長の就任を兼ねた役員会での決算報告書。
若林部長もいつになく緊張し、経理課の空気もいつもと違った。
私にとっては最後の決算となる。

「失礼します」

経理課フロアに栗原さんが現れる。

彼は私のデスクへと近づいて来た。
「ちょっと待って!!栗原さん」

彼の姿を見て、焦ったように主任がデスクを立ち上がる。

「見れば、わかりますよね…経理課の忙しさ。今…染中に抜けられたら、困るんですけど」

「理解してますよ…俺は唯差し入れを持って来ただけです…」

栗原さんは私に紙袋を渡す。

「取引先からの土産です…経理課フロアの皆さんで分けて下さい…染中さん…お願いします」
「ありがとう御座います」
「昼休憩はいつも通り?」

「はい…」

「じゃランチ一緒に食べられる?今後の仕事について話をしたいんだけど。昼休憩だけなら、染中さん借りてもいいですよね。今田主任」

「いいですよ…」
「ありがとう御座います…じゃこの間の公園で待ってる」

「分かりました」

彼は踵を返し、フロアを出て行った。





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