【完結】イケメンモデルの幼なじみと、秘密の同居生活、はじめました。
バレた秘密
 あずみに連れていかれたのは空き教室だった。
 二年生の階ではないので、知り合いはほぼ通らないだろう。
 あずみはつかつかと入っていって、誰もいないのを確認して、どさっと乱暴に通学バッグを机に置いた。
 その中からなにが出てくるのか。美波はわかっていた。
 おそるおそる、近くに立つ。
 その美波を、あずみは見た。今まで美波が見たこともないほど、冷たい目をしていた。
「なにを話したいのか、わかるよね?」
 でもあずみの言葉は落ち着いていた。少なくとも、そう聞こえた。
 美波はなにも言えなかったけれど。
 自分からバラすようなこと。
 いや、もうこの様子では多分バレていて、さらに隠すほうが悪いほうへ行くとわかっていても、喉が凍り付いたように声が出なかったのだ。
 あずみは美波が黙ったままなのに、不満になったらしい。
 通学バッグをやはり乱暴に開けて、掴みだしたのは、雑誌。
 【スターライト ティーンズ】。
 美波の心臓が、ひゅっと冷える。
 バレたというのが、確信として迫ってきた。
 あずみは一発で『その』ページを開いた。
 美波が北斗と写っている写真の載っているページ。
 ページには折り目がついていた。
 何度も、何度も開いたのかもしれない。
「これ。美波でしょ」
 はっきり言われた。
 美波は今度こそ、口を開こうとした。
 言わなければ。
 言うべきことを。
 本当はもっと早く言うべきだったことを。
「どう、して……」
 でも口から出た言葉は違うもので、美波は一瞬で後悔した。
 最初から「ごめん」と言うべきだったのに。
 美波のそれに、あずみは顔をしかめた。今度ははっきりと。
 今日見た、どの表情より『不快だ』という顔だった。
「美波の後ろ姿なんて、見慣れてるに決まってるじゃん。髪型や服が違ってもわからないはずがないし、それに」
 あずみは片手で雑誌を持ち上げ、そして示した。ある部分を。
 美波は目を丸くしてしまう。
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