【完結】イケメンモデルの幼なじみと、秘密の同居生活、はじめました。
 言われた、けれど。
 それは違うのだ。
 少なくとも、今回のトラブルの本当の原因ではない。
 なので慌てて美波は「ち、違うの」と説明することになる。
「違うよ、『やる』って引き受けたのは私だし、北斗のせいじゃない。それに……」
 まだ喉の奥に、ぐっとなにかが込み上げそうになった。
 あのときの、あずみの傷ついた目を思い出してしまって。
 自分が酷いことをしたのだと思い知ってしまって。
 でも。
「私があずみに秘密にしていたのが悪いの……。秘密にして、北斗と写って雑誌に載るようなまねをして……。そんなのこっそりしていたなんて、あずみが知ったら、傷つかないわけなかった……」
 話しているうちに、込み上げそうになったものは、溢れてきてしまう。
 制服のスカートの上に、ぽた、ぽたっと落ちてきた。
 目の前がかすんで、なにも見えないような気持ちにもなる。
 実際、なにも見えていないのかもしれない。
 どうしたらいいのかとか、そういうことも。
 北斗はしばらくなにも言わなかった。
 それに、美波も北斗のほうは見られなかった。
 友達を信頼もせず、だまったままでいたなんて、おまけにそれでトラブルになったなんて、情けなさすぎて。
 しかも泣いてしまって。格好悪すぎる。
 自分が嫌になってたまらなくて、ぽたぽた落ちる涙が止まらない。
 けれど、北斗の手に、再び力がこもった。
 今度は、ぎゅっと。力強く握られる。
「そうか」
 言われたのはそれだけだった。
 美波はそれがどういう意味なのかわからずに、すぐに反応できなかった。
 「確かにお前が悪い」なのか、「そんなことない」なのか。
 それともまた、別の意味なのか。
 でもすぐに北斗が続けてくれた。
「俺も似たようなこと、あったよ」
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