元勇者、ワケあり魔王に懐かれまして。
 タルツへ戻るとき以上に緊張しながら、ティアリーゼはゆっくり呼吸を整えた。

「あなたは人間を食べるの?」

「必要とあれば」

 打てば響くようにすぐ答えが返ってくる。

 その答えをどう受け止めるか、ティアリーゼは一瞬悩んだ。

「私を食べるつもりは?」

「今のところはない」

「……必要なときってどういうとき?」

「飢えて死にかけているとき。人間は極限の状態であっても共食いだけは絶対にしないものなのか」

「ああ、そういうこと……。それならあなたは人間を食べない、っていうのと同じね」

「必要なときには口にする」

「うん、そうね。わかったわ」

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