元勇者、ワケあり魔王に懐かれまして。
 同じくシュクルを見守っていたティアリーゼに、キッカが話しかける。

「なんでしょう」

「あいつ、変わり者だし世間知らずだけど、悪い奴じゃねぇんだ。いろいろあったからズレた人生送ることになっただけで」

「……はい」

「ほんとにあんたのことが気に入ってるんだと思うよ。俺に会わせるぐらいだから」

 シュクルは子供たちに混ざって蝶を目で追っている。相変わらず、人間とはほど遠い獣らしい仕草だった。

「……あんた、あいつを殺しに来たらしいな」

 キッカの静かな声に、ティアリーゼは息を呑む。しかし、偽らなかった。

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