元勇者、ワケあり魔王に懐かれまして。
「なんか気になるもんがあったんだろ」

 どうやらそこで売っているおもちゃに心を奪われているらしい。

 釣り竿のような棒の先に蝶を模した飾りが付いている。振り回せば蝶がひらひら舞うようで、ほかにも目を輝かせた子供たちが集まっていた。

「あいつ、ああいうの好きだからな。追っかけたくなるんだろ」

「キッカさんはあの人に詳しいんですね」

「いんや? そうでもねぇよ」

(そんなことはないと思うけれど)

 ちらりと盗み見ると、キッカは仮面の奥から温かい目でシュクルを見つめている。本当に兄のように見えなくもなかった。

「……あのさ」

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