元勇者、ワケあり魔王に懐かれまして。
「でも、そうね。人間を嫌う仲間たちからすれば、あなたの結婚は複雑かもしれないわ。もしあなたが困るようなら、今の話はやめておきましょう」

「なぜ? 私は私で、何者にも生き方を強制される筋合いはない。皆、それをわかっている」

 シュクルがティアリーゼに額を押し付ける。

 毛布が勝手に動いているのが視界に入った。中でご機嫌な尻尾が暴れているらしい。

「お前が恋人をやめてくれるのが嬉しい」

「そんなに?」

「キスをしても叱られなくなる」

「そんなに気に入ったの……?」

「触れ合えている、という気になる。ティアリーゼは温かい。それに、美味い」

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