元勇者、ワケあり魔王に懐かれまして。
「簡単に治るものじゃないのよ。……あなたみたいに」

 あのとき、シュクルは数えきれないくらいの傷を負った。

 槍で貫かれ、剣で切り裂かれ、翼もぼろぼろになるほど矢を射られた。たった十日ほどでぴんぴんしているのは、本人の回復力が大きく影響しているらしい。

 すぐに回復したシュクルを、キッカは若いと笑っていた。

「あなたの方はもう平気なの?」

「いかにも」

「自分を弱いって言っていたから、心配していたのよ」

「わからない。私は弱い個体だ」

「あなたの種族の基準では、ね」

 それもまたこうなってから知ったことだった。

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