元勇者、ワケあり魔王に懐かれまして。
 デザートを与えると自分の求めを拒まなくなる、と間違った事実を学んだ。



「今がいい」

「今はご飯だから、だめ」

「早くしてほしい」

「あなたにはあなたの都合があるように、私にも私の都合があるのよ」



 ティアリーゼは優しいのに優しくない。

 自分の思い通りにならないそういうところでさえ、好きだった。



「ティアリーゼ」

「なに?」

「朝からずっと、お前のことを考えていた」

「そうなの? どうして?」

「わからない。だが、私はとてもお前が好きだ」

「ふふふ、私もあなたのことがとても好きよ」



 微笑みかけられて、シュクルはこの上なく幸せな気持ちになった。

< 463 / 484 >

この作品をシェア

pagetop