クールなきみと、甘くない秘密。
「すず、おはよう」
「有紗ちゃんおはよう」
「今日早いね」
「ちょっと、眠れなくて……」
「へぇ、めずらしい」
驚いたような表情をする有紗ちゃん。
たしかにわたしは、いつも寝すぎなくらい寝てて、始業ギリギリに登校してくることも少ないない。
わたしも、夜眠れないなんて久しぶりだった。
いや、初めてだったかもしれない。
昨日は家に帰る途中も、夕食のときも、お風呂でも、寝るときもずっと夏目くんのことが頭から離れなかった。
夏目くんのことしか考えられなかった。
考えたくないのに、目を閉じれば蘇ってくるあの切ない表情や初めての感触。
ひとりで抱えるには大きすぎる。
有紗ちゃんをじっと見つめる。
「ん?どうした?」
不思議そうに首を傾げる有紗ちゃん。
わたしのいちばんの友達の有紗ちゃんになら……。
「あのねっ……」
ドンッ。
「っ、ごめんなさ……!?」