クールなきみと、甘くない秘密。
背中に衝撃がきて、ドア付近にいたから邪魔になったのかと思い、謝ろうと振り返ればそこにはわたしに冷たい瞳を向ける夏目くんが立っていた。
サァーっと血の気が引いていく。
や、やばい……。
もしかしたら、わたしが有紗ちゃんに昨日の出来事を話そうとしていたのがバレたのかもしれない。
強い瞳がわたしをとらえて離さない。
なんとか、視線を動かすと夏目くんの唇が視界に入りドキッと心臓が大きく音を立てた。
昨日のことが鮮明に思い出されて、今度は顔が熱くなってくる。
……最悪だ。
とにかく、いまこの状況をどうにかしたい……。
「お、おは……おはっ、おは、よ……」
動揺しながらも挨拶をしてみる。
挨拶ひとつでこんなに噛むなんて、意識しているのがバレバレだ。
そんなわたしを、いまだ冷たい瞳で見てくる。
夏目くんはクールな表情を崩さない。