だけど本当は、きみが最初で最後の恋



3月31日生まれ。ギリギリの早生まれなくせに身長は178センチメートルの細身。色白で顔は巷で人気な千葉◯大くん似。最近は電話だと聴きとりにくいくらいにはハスキーボイス。笑うと右目の下にどんぐりを横にしたみたいな形のえくぼができる。

ピアスは左だけ。なんでだよ。両方しろよカッコつけ。


え?イケメンじゃんって?


いやいやいやいや、調子に乗るからやめてほしい。それに巷の方たちのやっかみをかいそうだけどあたしは千葉◯大くんよりシュッとしている大人っぽい横浜◯星くんのほうがタイプなんだ。


身長だって中2あたりでようやく伸びはじめただけでずっとずっと一番前で腰に手を当てさせられていたし。


声なんて高校生になってからやっと変声期を迎えたんだよ。中学のとき、合唱の時間にカワイイカワイイってからかわれてたんだから。



月に1回は必ず風邪をひく病弱少年。


こじらせて肺炎になるわ、ついでに運動会前には毎年盲腸になるわ、女の子みたいに貧血で倒れるわ、夏バテにもなる。


そもそも短距離走も遅いし、球技はへんてこだし、未だににんじんは食わず嫌い。おまけにママが作る料理以外を胃に入れるとすぐお腹下しちゃう精神的マザコン。



それらを隠して隠して隠して隠して、カッコつけて、カッコよく見えることを散々やって、チビだったながらも身なりを気にして、16歳になると同時にバイクの免許なんかとったりして、今はサーフィンにハマってるらしい。下手くそなくせに。


バッカみたい。いや、みたいじゃない。


出会いは幼稚園年中さん。
何故か小中高までくされ縁。


伊野 成咲(いの なりさ)、高3。バカ。


あたしはアイツがキライだ。

いらないお節介ばっかりなんだもん。


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