だけど本当は、きみが最初で最後の恋



バイクの音が止まったと思えば、ピンポンピンポン、ピンポンピンポン。ピンポンピンポン、ピンポンピンポン。

ああうるさい。うるさすぎる。毎朝毎朝連打してきて我が家のインターホンを壊す気かよ。


ヘアゴムをくちびるに挟み洗面台の鏡とにらめっこして準備をしていると、ママが「成くんが来たわ」と目を輝かせスリッパを滑らせながら玄関に駆け寄る姿が見えた。

それを丸無視しながら繕ったサイド編み込みツインテールうまくできた!

これで今日こそは彼氏が……ううん、彼氏なんてぜいたくは言わない。片想いでもいい。LOVEな相手が見つかるかもしれない。


そんな祈りにも似た願いを込めて髪をヘアゴムの輪っかに通し、そこにリボンを巻いていく。



「テメェ、毎朝ゆっくりじっくり身支度してんじゃねーよ」


来たな。家に入ってくんなよ。女の子が支度してるところ覗いてくんなよ。


「成咲うるさい」

「さっさとしろよ。いつも10分も外で待たせやがって可愛くもないくせにいいご身分だな」

「いつもそうなるって分かってるなら自分の家を10分遅く出ればいい話しだろーがバカかよ」

「はあ?」


うわあ既視感。毎日既視感。こんな朝からギャンギャンうるさいやつウンザリするから反論するのもイヤなのにどうしてあたしの口はこんなにもお利口に言い返すクセが付いてしまってるんだろう。我ながら優しくて良い子すぎる。

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