君じゃなきゃ。


お昼ご飯を終えると課に戻って一番にあたしはいつもメールのチェックをする。


仕事に関する大事なメールが届いていることが多いからだ。


「えっと……澤田さんからメールだ……午後から出張かぁ……。探してもらいたいものがあったのにな……」


あたしがパソコンに向かって、一人でブツブツ言っていると、後ろから声がした。


「まだ休憩中なのに熱心だね」


バッと振り返ると笑顔の竹下先輩がいた。


「た……竹下先輩!」

「僕もお昼から帰ると一番にメールチェックするんだ。でもみんなお昼休みにメール送らなくてもいいのにね」


目を細めて優しく笑うと隣の席に座って自分のパソコンを開いた。


「澤田さんが出張じゃ、他の誰かに頼むしかないね。誰か資料の場所わかるかな」

「そうですね……佐々木さんならわかるかも。午後一で聞いてみます」

「ありがとう」


竹下先輩の自分に向けられる微笑みにうっとりしつつもメールチェックを続けた。
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