羽柴弁護士の愛はいろいろと重すぎるので返品したい。【番外編 2021.5.9 UP】

 泣きそうになっていると、先輩はぐいっと私の腕をつかんで、自分に引き寄せ抱きしめた。
 驚いて身体を離そうとしたけど、まったく離してくれない。

 数分後、先輩がやっと腕を緩めてくれて、身体を離そうとすると、
 それをゆるさないというように、私の顎に手をかけ、自分の方を向かせる。

 そしてまっすぐ私の目を捉えると、


「もうああいう関係になった以上、返品不可だよ。俺はみゆを離さない、離す気もない。みゆのこと一生愛するから。だから、俺の愛を正面からきちんと受け取って」


 有無を言わさない声。
 その声に、目に、もう十分すぎるほど、ヒシヒシと先輩の愛は伝わってくる。



 私は、身体を重ねたら何か変わると思った。
 確かに。確かに変わったけど……。

 これはちょっと私が思っていた方向とは違った。

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