羽柴弁護士の愛はいろいろと重すぎるので返品したい。【番外編 2021.5.9 UP】


 熱に浮かされて、うんと言ったのか、言えなかったのか……
 とにかく何も覚えてないけど、先輩の家に一緒に歩いたのは覚えている。


「ちょ、待って……!」

 先輩の部屋に入って扉が閉まる瞬間、玄関で靴も脱がないまま、頭の後ろに手を這わされ、そのまま有無を言わさないようなキスを交わされる。くちゅ、と唾液の混じるような音がして泣きそうになったところで、やめてくれるわけでもなく、何度もキスを交わし、やっと唇が離れた。

「待たないって言ったでしょう? もう付き合ってるんだよ?」

 先輩は自信満々に言う。
 うぅ……なんかこの人に自信を与えてはいけなかったような気がしてきた。

「でも、ここ玄関だし」
「うん、だから、ごめん」
「明日も会社だから……」

 だってまだ月曜だしね……?

 そう思って、泣きそうになる。
 やっぱり平穏な毎日じゃないですよね! なのに私は先輩との日々が必要なのだと、これを自分で選ぶようなことをしたのだ。

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