羽柴弁護士の愛はいろいろと重すぎるので返品したい。【番外編 2021.5.9 UP】

「……副社長は、羽柴先輩のお兄さん、なんですよね……」
「ん? 聞いたんだ。そうだよ、かわいいでしょ。うちの弟」
「かわいい、でしょうか」

 かわいい、とはちょっと違う気がする。
 でも、兄から見るとかわいい弟なのかもしれない。8歳離れていると言ってたし。じゃ、副社長って38歳なんだ。まったくそうは見えない……。

 そんなことを思っていると、
「うん、あれで結構一途なとこがあるんだよねぇ」
と私の顔を見た。

 そして続ける。
「そういえば思い出したんだ。健人が高校の時、入院したときさ、お見舞いに来て、結局お見舞いしてかなかった子、きみだよね?」
 そう言われて、私は焦った。

 たしかに先輩の病院に何度か行った。あの飛び蹴り入院事件のあとだ。
 でも、私は日和って先輩に会えずに帰ってしまったのだ。

(まさかそんな場面を見られていようとは……)


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