羽柴弁護士の愛はいろいろと重すぎるので返品したい。【番外編 2021.5.9 UP】
「さ、最上階?」
「社長がお呼びです」
「しゃっ⁉」
え、なに。怖い!
突然社長に呼ばれるとかある⁉ 何かヘマした……⁉ ……とかではなくて、間違いなく、先輩関連の話のような気がした。社長は先輩の父親だから。
きっとそうだ。やけに大きな緊張感が全身に走る。
「申し遅れましたが、私は社長の第三秘書をしております」
「……秘書だったんですか」
「以前から一樹さんと健人さんのお世話も」
「そうだったんですね……」
そんな世間話してもまったく緊張は解けない。
エレベータがどんどん上に上がっていく中、私は泣きそうな顔でそこにいた。
「社長は怖い人ではないので、大丈夫ですよ」
振り返って私の顔を見た眞城さんが、優しげな声で言う。
と言われても、平社員の平平凡凡な人間が社長に会うというだけで、随分、大それたことだ。しかも付き合っている男性の父。
あ、今、私、服装大丈夫だろうか。
こんなことなら(私が持っている中で)一番高いスーツ着てくるんだった……。