羽柴弁護士の愛はいろいろと重すぎるので返品したい。【番外編 2021.5.9 UP】
私が足を引くと、先輩は笑って私の髪を撫でる。
「でも、みゆもまだ俺のこと、好きだよね?」
「ひっ……」
私はぶんぶんと首を横に振った。「き、嫌いですって! 金曜も言いましたよね⁉」
「本当は最後まで試したいんだけど」
「絶対いやです!」
泣きそうに、いや、泣きながら叫ぶ。
(なんでそんなお試しで、先輩に私のハジメテを捧げなきゃなんないのよーーー!)
先輩は不思議そうに首をかしげると、
「でもそもそもこの現象の原因って、『みゆの飛び蹴り』だよね?」
「関係あります? ほんとに? ほんとに飛び蹴り関係あります⁉」
「そうに決まってるでしょう」
先輩はやけにきっぱりと言った。なぜ急に強気になるんだ。
そう思った瞬間、腕を引かれて、先輩の胸の中に押し込められる。
こんな変な話、誰が信じるのだろう。
でも、先輩が嘘を言っているようにも見えなくて……私はその場に固まっていた。
「だから、みゆ。諦めて俺と結婚してくれない?」
(のぉぉおおおおおおおーーーーーーーー‼)
その時、その場で大声で叫ばなかったことだけは、その日の自分をほめてやりたいと今でも思ってる。