羽柴弁護士の愛はいろいろと重すぎるので返品したい。【番外編 2021.5.9 UP】
「あのさ……」
「ん?」
「お父さんは……ママ以外は考えたことないの? あれからずいぶん経ってるから私はもう再婚とかもいいと思うけど……」
私が告げると父は考え込んだ。
「うーん、一時期はね、みゆに母親がいた方がやっぱりいいのかなぁって思ったことはあったんだけど……」
「そんなこと考えてたんだ」
「……でも、なんていうかね、僕が、ママ以外にダメなんだよね」
父はそんなことを言う。私はそれが意外で父を見上げた。父は続ける。
「もしかしたら将来は分からないけど。でも今はまだ、ママ以外、他の女性に女性としての魅力を感じないんだ」
「……それって魅力的な女性がいても、……身体が反応しないってこと?」
父は慌てように吹き出す。
「な、何言いだすの!」
「ご、ごめん……変なこと聞いて……」
「こっちこそごめん。みゆももう大人だもんな。……ちゃんと答えるね。さすがに僕もこれでも男だし、そりゃ、目の前で色気のある女性に裸にでもなられたら、反応はするんじゃないかな」
「……」
(反応は?)
そう思ったとき、父はふっと笑った。
「でも、きっと愛し合いたい、とは、思わないよ」
私はそれを聞いて、私にはきっと難しいだろうけど、父と母みたいな結婚ならしてみたいなって思っていた。