まだ、青く。
と、こんな調子で時に兆くんにフォローされながらも乗り越えることが出来た。

それに、鑑先輩も優しかったから終始穏やかに落ち着いて出来た気がする。

それでもたまに噛んでしまったけど、そこは次への課題ということで切り替えないと。

そんなことを思いながら片付けをしていると、鑑先輩に声を掛けられた。


「今日はありがとう、鈴ちゃん」

「こちらこそありがとうございました。とても貴重なお話を伺えて本当に良い経験になりました。今後も練習頑張って下さい。応援しています」


ぺこりとお辞儀をすると、ふわっと頭に手のひらが乗った。

千先輩よりも一回り大きくて重い。

必死に水をかいて速さを競ってきた水泳選手の手だと思った。


「あの、そういうの止めて下さい」


...え?

私が顔を上げた瞬間、視界に凪くんと鑑先輩、奥に口をあんぐりと開けた兆くんが映り込んだ。

これは一体どういう状況?

ただならぬ雰囲気は感じるんだけど、

読みきれない。

おそらくその理由は、

私がこの空気の中心、

いわば、台風の目、だから。


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