まだ、青く。
しばらくの沈黙の後、兆くんはためらいながらも口を開いた。


「凪ほどぶきっちょなやつをオレは知らない」

「...えっ?」


天井を見上げながら、まるで回想のように兆くんが言葉を紡ぐ。


「どう見ても不器用だろ、アイツ。言葉に出来ないんだよ、本当の思いとか気持ちとか。思いすぎるから行動には表れるけど、言葉に出来ないから誤解される。昔からそういうヤツなんだ」


千先輩からも凪くんのことを聞いたことがあった。

その時に抱いたイメージは...雲。

青空を悠々自適に泳ぐ真っ白な雲。

形はあるのに、手を伸ばしてもすり抜ける。

あるのに、ない。

掴めない存在。

そう思ってた。

それが益々濃くなった。

今、私が感じるのは濃くて分厚い灰色の雲。

今にも雨を降らして

雷鳴を轟かせそうな

人間の驚異となる雲。

その雲を私は......

私は、

どうすべき?

どう、したい?


「鈴ちゃんはアイツが写真を撮る理由、知ってる?」


唐突な質問。


「いえ...」


ぎこちなく返すしかない。


「なら、鈴ちゃんには特別に教える。アイツが写真を撮るのはな......」


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