まだ、青く。
私の言葉に凪くんはふっと笑った。


「見えないままでいい。今はまだ...」

「凪くん...?」


凪くんは立ち止まり、後ろを振り返った。

車の通りも少ないこの道は、人がど真ん中を堂々と歩いても、途中で止まっても迷惑にはならない。

私も習って振り返ってみた。


「わぁ...!」


私の瞳に、凪の海が広がった。

灯台が照らし、キラキラとしている海は、まるで星を宿した夜空のようだった。

優しい風が吹き、心が徐々に涼しさを覚え始めた。

心地よい温度がここにあった。


「今日はこんな天気だけど、いつか夏目に見せるよ。星空と海が1つになって、まるで宇宙にいるような、そんな瞬間を」

「私...見てみたいです。青くて、青くて、青い...どこまでも青くてキラキラしているそんな世界を」


私の言葉は凪くんの小指を動かした。


「約束、する?」

「...はい。約束して下さい」


私は凪くんの小指に自分の小指を絡めた。

私の指は冷たくて

凪くんの指は暖かかった。

私はまた凪くんから温度を分けてもらい、

胸のランタンに淡い火を灯した。

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