まだ、青く。
「ごめん。俺が一方的に色々ぶつけちゃって」

「いえ。凪くんの行動の真意が分かって納得しました。これから鑑先輩のお話を文字に起こすのかと思うと少し気が引けますが...。鑑先輩を応援して下さっている方々の理想を崩しても可哀想ですし、せめてその人たちの中では理想の姿でいてほしいので、私は聞いたままに書こうと思います」

「うん...分かった」


凪くんは私に向かって力強く頷いてくれた。

そうしてくれるだけで、なんだか元気になれる。

勇気が湧いてくる。

不思議だなぁ。


「魔法使いみたいです...」

「え?」

「いや、何でもないです」

「魔法使いって聞こえたけど?」

「いや、えっと、その...それは...」


ぽんっと軽く重力を感じた。

まるで天使が舞い降りたかのように、

頭上にものすごく大きなパワーを感じる。

と同時に、とくとくとくと鼓動が早鐘を打つ。

全身に激しく血液が巡る。

ぽちゃんと落ちたピンクは胸の中の隅々まで広がる。

隙間から漏れたピンクはまた深淵に溜まる。

そして、また巡る。

ふわふわとした気持ちになり、

やはり魔法使いなのだと確信する。


「魔法使いはそっち」

「わ、私は...」

「キビと話せるなんて、夏目やっぱすごいよ。じいちゃんも喜ばせたし、魔法使い確定」

「で、でも、私には凪くんの気持ちが読めませんし...」


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