狙われてますっ!
 いや、えーっ! って入れたつもりだったんですが。

 怪しい霊能者が(かつ)入れてるとこみたいになってましたね……、と汐音は思う。

「そもそも、おごってくれなくていいんだぞ。
 俺がおむすびをもらったお礼で連れてったのに、お前がおごり返すのがおかしいんだからな。

 で」
と入ったあとで、

「すまん。
 間違って途中で送信した。

 ともかく、高いところじゃなくていい」
と入ってきた。

 『で』は何処に……。

『ですまん。』
 じゃなかっただろうし。

『でともかく、』
 でもなかっただろうし。

 他になにか言いたいことがあったのでは、と思う汐音は、求が、

『でも、お前が誘ってくれて嬉しかったから』
と入れたくて入れられなかったことには気づかなかった。





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