狙われてますっ!
水曜日。
汐音が機嫌よく渡り廊下を歩いていると、父母翔がやってきた。
あ、もふもふさんだ、と思いながら、
「お疲れ様でーす」
と言うと、
「ご機嫌だね。
なにかいいことあった?」
ともふもふさんは訊いてくる。
「いえ、別に」
「そう。
僕はちょっとブルーだよ。
明日の呑み会に輝美ちゃんたちが呼んでくれなくてさ」
「明日、一応、コンパみたいですよ。
……父母さん、彼女居ますよね」
と訊くと、
「いやー、それがさー。
別れちゃったんだよね~。
でも、輝美ちゃんたちに言うとさ。
じゃあ、派遣社員の子をもてあそんだだけなのねっ、とか言って。
それはそれで責め立てられそうだからさ」
と言う。
「言いそうですね……」
と苦笑いで返しながら、汐音は思っていた。