狙われてますっ!
 ……なにが、いかん、なんだろうな?
と自問自答した渡真利は、

 そうだ。
 きっと汐音のような自堕落で料理もアレレな女に、このよく出来たイケメンはもったいないからに違いないっ、と結論づける。

 汐音の実態をこの男に伝えねばっ、と決心した渡真利は求に訊いてみた。

「……加倉井、もうおむすび以外の汐音の料理を食べてみたか?」

「え、いえ……」

 そうか、と渡真利は沈痛な顔をし、言った。

「お前が汐音とこの先も居るつもりなら、それは、いつかは乗り越えねばならない壁となるだろう」

「あ、あの……。
 汐音の料理、以前、温かい目で見てやれとおっしゃってましたが。
 どんな感じなんですか?」

 そう求が訊いてくる。



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