狙われてますっ!
「そういうとき、人は自分の力量を考えずに、頑張ってみようとするようだからな。

 突然、なにか()った料理でもてなそうとするに違いない。

 牛肉の赤ワイン煮込みとか、タンシチューとか鯛の塩釜焼きとか」

 塩釜焼きは別にいけそうな気がしますが……。

 焼く前に、真っ二つになって爆発したりするんですかね?

 そう思いながらも、求は言った。

「大丈夫です、渡真利さん。
 俺が料理を覚えます。

 汐音には一生、おむすびしか握らせません」

 ……こんなこと言うと、まるで自分と汐音が結婚するみたいだな、と思い、求は赤くなる。

 汐音の気持ちはまだ、サッパリわからないのに……。

「生涯、そんな食生活でいいのか、加倉井っ」
と驚いたように渡真利が言う。
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