狙われてますっ!
「いや、目玉焼きはできる。
 何故か黄身が真っ二つになってる目玉焼きが――」

 何故、なんでも真っ二つになったり、なろうとしている状態なんだ……。

「温かい目で見てやってくれ」
と渡真利に言われ、テーブルの上に置いていた手を握られる。

 ……味は? と思ったのだが。

 よく考えたら、ホットケーキと目玉焼きだ。

 ホットケーキはホットケーキミックスだろうし、卵はせいぜい塩胡椒くらいだろうし。

 味的には失敗しようが……。

 いや、料理下手のやつはなにをするかわからないからな、と求が思ったとき、渡真利が言った。

「汐音は自分でも料理が下手なのはわかっているから。

 おむすび以外はほとんど、母親が作ったものか、買って来た惣菜ですませてると思うんだが。

 ……お前におむすび以外の物を作ろうとした瞬間、なにかが起こる気がする」

 その箱を開けると、世界が終わる、くらいの勢いだ。
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