狙われてますっ!
「あんなに積極的だったのにさ。
 飽きたらポイだよ。

 女の子って怖いって思ったね。

 でも、今日、君たちと話してて、やっぱり可愛いなあって思ったよ」

 そうですか。
 女性不信になりかけてたのが治ったのならよかったです、と思う汐音に父母が言う。

「……居たんだね、彼氏」

「え?」

「さっき、渡真利さんと話してた男、汐音ちゃんの彼氏なんだろ?」

「い、いえ、彼氏とか、そんな滅相(めっそう)もないっ」

 私なんかが加倉井さんの彼女とかっ。
 恐れ多すぎですよっ、と思いながら激しく手を振り言うと、

「じゃあ……僕が立候補してもいい?
 あ、二度目かな、こんなこと言うの」
とちょっと照れたように父母は言ってきた。
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