狙われてますっ!
汐音が輝美と職場近くに新しくできたカフェに行っているとき、求からメッセージが入ってきた。
「週末、冬の花火が上がるらしい」
と。
「へー、花火があるらしいですよ~」
とそれを見ながら、汐音が言うと、横から輝美が言ってきた。
「わあ、見に行きたいですって入れなさい」
ライトアップされた庭が見られるようにガラス窓の側に造られているカウンター席なので、二人は横並びに座っていたのだ。
ありがとうございます、と輝美のアドバイスにお礼を言いながら、汐音は、
「わあ、見に行きたいです」
と素直に打った。
ひとりだったら、こんなこと打って大丈夫かな?
とか、いろいろ考えていただろうが、輝美のおかげで機械的に打ち込めたのだ。
「そうか。
じゃあ、ふたりで行こうか」
と求から返ってくる。
だが、淡々と会話しているのは文面だけだった。
それぞれスマホを手に、
ええっ!?
ほんとにっ?
と叫んでいた。
ふたりで出かける約束が、かつてないほどスムーズに進んでいたからだ。