狙われてますっ!
「こんばんは、日坂さん。
 輝美さん、少し遅れてくるそうですよ」
と言って、ふふふ、と笑う。

「あ、そうなんだ。
 うん……」
と曖昧な返事をする武志とともに、夜店を眺めた。

 しばらく歩いたところで、ぼんやりしていた武志が言った。

 何処か遠くを見ている。

 その視線を追うと、向こうからレトロモダンな柄のアンティーク着物を着た艶やかな美女がやってきた。

「なんかすごい綺麗な人が居る……」
と武志はぼんやりしたまま呟いている。

 その美女が武志に向かい、流し目をくれているせいもあり、特に魅力的に見えているようだった。

「やだなあ。
 輝美さんじゃないですか。

 ……加工なしの。

 一度、あんまり加工してない写真、お見せしましたよね」
と言って汐音が笑う。

「うそっ」
と武志が声を上げた。
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