竜王陛下のもふもふお世話係2~陛下の寵愛はとどまるところを知りません~
「ミレイナ。俺はお前以外を妃にするつもりはないんだ」

 膝の上のミレイナは耳をぴこりと動かし、ジェラールを見上げる。普段のミレイナならあわあわして赤くなるところだが、ウサギ姿ではそれもわからない。

 ふと顔を上げると、壁に掛けられた大きな絵画が目に入った。
 水辺で若い女が花冠を編んでおり、その傍らに大きな竜がいる。ラングール国の起源となる神話のワンシーンを描いた作品だ。

「初代の竜王は竜の姿のまま人間と恋に落ちたといわれているが、ウサギと竜人も存外悪くないな」

 ジェラールはフッと笑う。
 神話では神が現れて、竜に人の体を与えた。

「ミレイナのことは、俺が戻す方法を必ず探し出してやる」

 それが無理ならば、次の竜王は甥のクレッグに譲ればいい。
 ミレイナは何かを言いたげに、じっとジェラールのことを見つめていた。
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