片桐兄妹の言うことにゃ

最近産まれたようだったが、見るたび大きくなった。藍が言うには、猫の成長は早い、らしい。

ふわふわ、毛玉、かわいい。
静かに餌を食べているのを見ている燐は、一度、触ってみたくて手を伸ばしたことがあった。

しかし、毛を逆立てて威嚇され終わった。それからは絶対、窓を隔てて見ることにしている。

前に藍がじゃらして遊んでいるのを見て、自分もできると思っていたのだ。昔から、生き物に好かれる兄と、嫌われる一方の自分。

餌を食べ終え、毛づくろいを一通りした2匹はどこかへ行ってしまう。

「ばいばい」

姿が見えなくなったところで窓を開けて、皿を回収した。

< 9 / 91 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop