蜜溺愛婚 ~冷徹御曹司は努力家妻を溺愛せずにはいられない~
これでも柚瑠木さんが私に頼りたくないと言うのならば、傍で見守らせてもらうだけでもいいんです。私にはもう、貴方を放っておくことなんて出来ないんですから。
私は柚瑠木さんに、こうして少しでも温もりを与えることが出来るのならそれだけでもいい……
下げたままになっていた柚瑠木さんの両腕が、ゆっくりと私の腰の辺りに回されて力が籠められるのが分かりました。その身体が小さく震えてることに気付き、私も柚瑠木さんを自分の胸に埋めるようにギュッと抱きしめて……
「聖壱からこの契約結婚の話を持ち掛けられたとき、僕は自分にとって都合のいい事を考えていました。貴女を囮にする事だけではなく、これで愛し愛される必要のない僕にとって理想の結婚が出来る、と。」
「……理想?夫婦なのに愛し愛されないことが、ですか。」
柚瑠木さんが契約結婚を望んだ後一つの理由は、私ももうなんとなく分かっています。だけどそれは柚瑠木さんの本当の願いだとは思えなくて……
「月菜さんが婚約解消をされて、十条の家で居場所が無かった事も分かっていました。真面目な性格な貴女が自分を責めて、どうにかあの家に役に立ちたいと思っている事も。」
……知ってます、結婚前に柚瑠木さんと聖壱さんで私や香津美さんの事を調べ上げていたんですよね。それに今なら私が柚瑠木さんから渡された契約書の意味が分かります。