蜜溺愛婚 ~冷徹御曹司は努力家妻を溺愛せずにはいられない~
「もし誰かを愛した時、また僕の所為でその人を危険にさらしてしまう可能性があります。もう大切な人を傷付けたくなかったし、僕も傷付くのが怖かったんです。そんな僕の我が儘を契約結婚という形にして、月菜さんを巻き込みました……」
つまり柚瑠木さんは私とはずっと愛情も何もない夫婦のままでいるつもりだったのでしょう。私が何も行動を起こさなければ、今こうやって柚瑠木さんの過去の話を聞くことも無かったはずです。
でもこうして私に腕を回す柚瑠木さんは、ずっと傍にいてくれる人が欲しかったのではないですか?
「私はそれでも柚瑠木さんの妻になれて良かったと思っていますよ?貴方は少しずつ私に歩み寄ってくれました、それだけでこの結婚生活は無意味ではなくなったんです。」
柚瑠木さんが真澄さんと違う意味だとしても、私を【特別】にしてくれた。私を抱きしめ、唇に触れて……あの時の柚瑠木さんからはちゃんと心を感じました。
「今までずっと、僕の夢に出てくるのはバイクと走っていく真澄さんだけでした。でも……あの日の夜は違った。」
「あの日……それはどういう事ですか?」
柚瑠木さんの腕の力が一段と強くなって、私は身動きが取れなくなってしまいました。それでも今は彼の話を聞く方が大切で。
「貴女を拒絶してしまった夜、夢の中にはいつも通り真澄さんが現れるはずなのに……あの日、僕の夢に出てきたのは、この部屋から出ていく月菜さんの姿だったんです。」