蜜溺愛婚 ~冷徹御曹司は努力家妻を溺愛せずにはいられない~


「さあ、この車に乗ってください。」

 男性に言われた通りにお店の外についていくと、そこには他の男性が車に乗って待っていて……車に乗るように言われました。少し怖くなってしまい首を振ると、後ろから無理矢理押されて車に乗せられました。

「あのっ、降ろして欲しいんです。柚瑠木さんに心配かける訳にはいかないので……」

 後部座席からお願いしてみましたが、男性二人は私を見てニヤニヤと笑うだけで何も答えてくれません。私は怖くて怖くて堪らなくて……ただ震えている事しか出来ませんでした。

 私からバッグを取り上げて、男性たちはいったん車を降りていきました。
 決して車から出ないように言われて私はまだ動けないまま……ただ一つだけポケットにいれたままだった柚瑠木さんから貰った白クマのマスコットの付いた鍵を握りしめていました。

 しばらく俯いたままそうしていると、車のドアが開いて女性が車に乗り込んできました。ふわふわ柔らかそうな髪、大きな黒い瞳。それはもう、見惚れるほどに華やかな容姿の女性です。

 もしかしてこの女性も私と同じように、連れて来られたのでしょうか……?これじゃあまるで私達は誘拐でもされたみたいだと考えてしまい、背中がゾクッとしてしまいます。

 柚瑠木さん、こんな時私はどうすればいいんでしょうか……?誰も頼る事が出来なくて心細くて、私は初めて柚瑠木さんに助けて欲しいと願いました。


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