蜜溺愛婚 ~冷徹御曹司は努力家妻を溺愛せずにはいられない~
この言葉に嘘はありません。例え柚瑠木さんが私の事をただの契約妻としてしか見ていなくても……私は夫である柚瑠木さんに尽くしたい、そう思っているのですから。
「お願いします、私を頼ってください……!」
柚瑠木さんの手に重ねた自分の手。私の気持ちが彼に少しでも伝わるようにと願いながらキュッと力を入れてその手を握りました。
そっと伸びてくる柚瑠木さんの右手。彼はここにいる私の存在を確かめるように私の頬に優しく触れてきました。
柚瑠木さんの触れ方は決して嫌な感じはしませんでした。それどころか彼の温かな手のひらに触れられると、心地よくて目を閉じたくなるんです。
「本当に、僕が怖くないんですか?」
そんな風に信じられないという顔はしないでください。柚瑠木さんのそんな顔を見ていると何だか胸が苦しいんです。これは怖いという感情ではなく、もっと別の……
「信じてくださいませんか?私は柚瑠木さんの妻なんですよ。」
何をどう言えば彼に伝わるのでしょう?私は彼に自分の考えを伝えたくて必死でした。
すると私の言葉に柚瑠木さんは少しだけ視線を彷徨わせた後、そっと私の手を握り返して言いました。
「では今夜、僕のベッドで一緒に寝て欲しいと頼んでも、月菜さんは本当に怖がらず引き受けてくれるのですか?」
「……え?」