甘溺愛婚 ~性悪お嬢様は契約婚で俺様御曹司に溺愛される~


聖壱(せいいち)さんって、本当に女性を見る目が無いのね。いつか後悔しても知らないんだから。」

 私はずっと多くの男性は、妹や月菜(つきな)さんの様に可愛くて従順な女の子を好むんだと思っていた。
 選ばれるのはいつもそんな子ばかりだと。だけどこの人は違った、こんな私の事を可愛いと……何度も特別だと言ってくれるの。

 そんな貴方の事、私も決して嫌いじゃないわ。

「残念だな、香津美(かつみ)。こう見えても俺は人を見る目には自信がある、今まで後悔なんてしたことは一度も無いんだ。」

 そんな自信満々に言わないでよ。そんな風に私を特別扱いされたら、甘えてしまいたくなる……貴方無しじゃいられなくなってしまう。
 だって私はずっと、こうして私だけを大事にしてくれる相手が欲しかったのだから……

「狡いのよ、聖壱さんは。そんな事言われたら……もう逃げられないじゃない。」

 この人に目を付けられた時から、私の運命は決まっていたのかもしれない。こんな自信家で俺様な人、絶対好きになんてならないって思っていたのに。
 けれど聖壱さんがこんな風に私の揺れる心を見逃してなんてくれるはずも無くて。

「……なあ、香津美。俺はもうお前しか見ていない、香津美しかいらない。」

 ほら、こうやって私をじりじりと追い詰めていくの。貴方のその表情とその声、そしてその言葉に……私はもう完全に捕らわれてしまっている。

「だから、香津美も俺だけを欲しがってほしい。香津美の全てを……俺にくれないか?」

 私を射抜くような真剣な眼差し、きっとここまで私を想ってくれる人には2度と出会えない。私もこの人以上にこんな風に愛おしいと思える人には出会いないはず。
 きっと彼との未来を選んでも、もう後悔することなんてきっとない。だから……


< 111 / 126 >

この作品をシェア

pagetop