甘溺愛婚 ~性悪お嬢様は契約婚で俺様御曹司に溺愛される~
それは私が初めて経験する絶頂だったのだけど……
「何で不満そうな顔をしている?」
そうね、聖壱さんはそう思うかもしれないけれど……私は一人だけ翻弄され乱されたのよ?貴方はまだシャツも脱いでいないのに。
「私は聖壱さんを満足させれてないわ。私だけが先に気持ち良くなってしまって……」
そう言ってジッと聖壱さんを睨めば、彼は困ったように笑って乱れた髪をクシャリとかきあげてみせる。その少年のような笑顔にこれ以上の文句も言えなくて。
……本当は分かってる、さっきの行為すべてが私の為だって事は。聖壱さんは抱き合う事に慣れていない私の緊張をほぐしてくれたんだって。
だから私も何か出来る事を頑張らなきゃいけないと思った。
聖壱さんのシャツに手を伸ばすと、慣れない手つきで彼のシャツのボタンを外していく。緊張で手が震えてしまうから時間がかかってしまったけれど、私は彼から白いシャツを奪い取ることに成功したの。
私がシャツを脱がすと、今度は聖壱さんがタンクトップを自分で脱いだ。健康的な肌色、鍛えられたその肉体に思わず見惚れてしまう。
「香津美。もう覚悟、出来てるか?」
彼だって早く私を抱きたいはずなのに、まだ私の事を考えてくれる。契約結婚の話を持ち掛けて来た時は「なんて男だ」と思ったけれど、今は一番愛しい人になった。
「とっくに出来てるに決まっているでしょ。まだ私を待たせるつもりなの?」