死にたがりな君と、恋をはじめる
その心配げな様子に、眉を下げて、苦笑した。
「言えた……。言えたよ、レイ……」
力が抜けて、ベンチにごろんと寝ころびながらそういうと、レイは少し目を瞬かせる。
それから嬉しそうに笑って、頭を撫でてくれる。
『そっか……頑張ったね。偉い偉い』
「ん……」
優しいその手つきに、私はそっと目を閉じた。
……気持ちいい。
先ほどまでの緊張が解けて、レイの手の安心感によって眠気さえ感じる。
私は少しの温かみに、口の端を持ち上げた。
「ふふ……」
『奈月? どうかした?』
小さく笑い声を漏らした私の顔をレイが覗き込んでくる。
目をそっと開けると、目が合って私はふにゃと力の抜けた笑みを浮かべた。
「私……レイに頭撫でてもらうの、好きだなぁ」
『っ……』
私の言葉にレイは虚を突かれたように目を瞬かせて、距離をとる。
そして顔を背け、口元に手を持って行った。
『っとに……』
「……レイ?」
小さくうなったレイに、私が首を傾げると、レイはこちらに向き直った。
『……奈月急にどうしたの。初めて会った時とえらく変わったね』
「私、心の許した人には優しいから」
そういうと、レイは『あっそ』と呟き、ベンチに座ってくる。
「……どうしたの」
無言でこちらを見つめてくるレイにそう問いかけると、サラリとその温かい手で顔にかかる髪をよけてくれる。